株の信用取引・過当取引被害について
株式の信用取引・過当取引被害について当会会員が取得した判例をご紹介します。
大阪地裁平成25年1月11日判決
【事案の概要】
投資経験の乏しい30歳代の女性が平成15年から24年頃までの信用取引を中心とする株式取引等の過当取引(取引回数637回、損害額約6000万円)により多額の損害を被ったケースにつき、証券会社に損害賠償請求を行った。
【判決の内容】
本判決は、取引開始以後の経緯、本件取引の取引回数・保有期間・損失額における手数料の割合・回転率、安定重視という投資意向に沿わない取引も少なからず行われていること、原告が被告担当者の言いなりになっていた実態等に照らし、本件取引は全体として適合性原則に違反し、過当に行われたもので、被告担当者の勧誘行為は全体として不法行為を構成するとして証券会社に損害賠償責任を認めた(過失相殺4割)。
【関連判例】
過当取引は、当初は米国での判例法理に基づくものでしたが、大阪地裁平成9年8月29日判決(判時1646−113、過失相殺5割)が過当取引の違法を認めて以来、現在では我が国の裁判例も数十のものがあります。
当研究会でも、15年の証券取引の経験のある会社経営者が平成11年6月〜12年3月の10か月で855回の信用取引を行い約1億数千万円の損害を被ったケース(大阪高裁16年10月5日判決)、「株が趣味」と自負するベテラン投資家が外務員から勧誘され平成11年12月8月までに113回の信用取引を行い7千数百万円の損害を被ったケース(大阪高裁16年11月5日判決)、昭和58〜59年頃から合計7社の証券取引の経験があるベテラン投資家が平成11年8月〜12年3月頃迄信用取引を中心とした432回の取引で7千数百万円の損害を被ったケース等で過当取引の違法が認められ、損害賠償責任を認める判例(大阪高裁20年8月27日判決=判時2051−61)や勝訴和解例等の判決を獲得しています(但しこの三者は限界事例であり、過失相殺も小さくはありません)。
【担当弁護士】 内橋一郎